サーフィンの思い

ひと昔前に比べれば、色々なサーフボードを海で見かけるようになった。
サーフィン人口の多くは「中年」と世の中から言われる世代だから、体力的にもきつくなって厚みや幅をおしゃれな感じで持たせた板が多くなってきたり、ロングボードが必然的に増えてきたりするのも仕方がないが、それだけの理由で種類が増えているわけではない。
個人的に感じる滑りの感覚や時間の進行具合を確かめるために、自分の中に滑りを取り込んで魂で感じる、そういう趣味嗜好で選ばれる板もまた少なくはないと思っている。

もっとも、波が豊富な地域で常に体を鍛えている方達は現代の最先端のショートボードで普通にサーフしているわけだし、よほどの事がない限り厚くて幅のある丸い板には乗らない。しかし僕らのような普通のサーファー達は、たっぷりした板を使ってもなお、あまり乗れない状態になってしまう事も多々あるわけだから、日々のエクササイズを欠かさずに現役でいる事は結構大変な事なのだ。

まあたまに海の中で観察していると、周りは年寄りかキッズしかいないラインナップとなっていることが多い。そんな時でもキッズ達に波を分けてもらえるのが、このところ僕の中では登場率一番の中途半端に長いファンボードだ。
長さは6’8”から７フィートの前半位までのシングルフィンで、今はやりのハルでも良いが、普通のボトムも簡単な割に奥深くてはまってしまう。このタイプの板はサーフィンの寿命を伸ばすと勝手に思っているし、第一乗っていて楽しい。しかも上達するからぜひ一度お試しいただきたい。きっとサーフィンに対する考え方が変わることだろう。

機能的に考えれば、現代のスラスターは完全に完成されていて欠点など見当たらないぐらいだ。だから良い波の時、湘南でいえば台風の時などは格好付けずに大きめのスラスターに乗る事が中年サーファーの一番楽な台風のやり過ごし方だと思っているが、ことこれが鵠沼のひざからももちょっとでペラペラな時などはもうどうしようもないわけで…方針変更して波が綺麗に崩れる様を観察する、といった趣味に走ってるふりをするほうが歳をとっても趣が有る人間に見えそうなので、がっついたところを目撃されてばれるまではこうして気取ってみたりもしている。

さて僕のショップが鵠沼に完全に移転したわけですが、基本的には何も変わりません。
ただ、今までよりも海の中でお客さん達と長い時間が過ごせることが最大の違いです。みんなのサーフィンを見て考えていますから、高いとか安いとかだけでない、その方に本当に合っている、楽しめる板を御案内できるのではと思っています。
サーフィンは趣味の遊びですから、自分には乗れないけど持っていたい板を手に入れることも自由ですが、基本は普段に一番使う板を真っ先に手に入れることでしょう。
その時に僕と一緒に考えて相談して、選び出した板で楽しくサーフィンしてもらえたら、これほどうれしい事はありません。ぜひ僕にもあなたのサーフィンライフを充実させるお手伝いをさせてください。

これからもサーフィン業界には新しいサーフボードやテクニック、新機能のウェットスーツなど登場してくることでしょう。しかし来る波はいつも変わらずそこに有ります。
来た波に合わせて、それに乗ること、これは不変のサーフィンという遊びの原点です。

いつまでも楽しく波に遊んでもらえるように、僕たちも常日頃から自分を研ぎ澄ましていたいものだと思うこの頃です。